2015年度活動レポート!!!
ウガンダプロジェクト
2016/04/01
■ウガンダ自転車プロジェクト詳細■
<プロジェクト概要>
(目的・内容)
自転車プロジェクトとは、ウガンダにおいて、水汲みの仕事に従事する人々の「所得の向上」および「生活の自立支援」を目的とし、低利での自転車販売を行うものです。
(背景)
上水道が未整備の地域では、「水汲み」という仕事があります。貧困状態にある人の多くがこの仕事に従事していますが、効率的な移動手段がない場合、多くの水を運べず、貧困から抜け出せないという状況にあります。ハッピーステップスは、この状況に着眼し自転車プロジェクトを推進することにしました。
(自転車販売概要)
自転車の販売条件は、次の通りです。
◇自転車一台:約14,000円(360,000UGX)
◇分割払い(日払い、週払いから選択)で販売
◇半年以内の完済を目標
自転車販売の際、貧困状態にある生活者に負担にならないよう低利のローンを設定しました。また、自転車は、日本リユースシステム株式会社の山田正人様のごを寄付により調達しました。
当初は、自転車を生活者へ寄贈することも考えられましたが、生活者の自立を促すため、あえてローンによる提供を行いました。
ウガンダでの自転車販売ローンの回収は、現地NGOのChildlineと連携し行いました。現地NGOとは、遠隔テレビ会議の仕組みを活用し、2週間に1度の頻度で定期的なコミュニケーションをおこないました。
(期待された効果)
事前の調査では、本プロジェクトが与えるインパクトは、水汲みの量が利用以前の8缶から18~24缶程度になると考えられ、所得も240円/日から540円~750円/日を見込んでいました。
※この効果は、プロジェクト開始前の見込みであり、実際の状況とは少し異なる部分がありました。詳細の効果は、後段にて報告いたします。
■プロジェクト成果■
<ビジネスと貧困支援の両立に!>
自転車プロジェクトは、自転車を提供による所得向上だけを目指したものではありません。プロジェクトを通じて、自転車の購入→販売・宣伝→債権回収→自転車の再購入という持続可能なサイクルを生み出すことも目指していました。さらに、将来的には、ハッピーステップスの協力がなくても、ウガンダ現地にこのプロジェクトが自立して推進されていくことも目指しています。
このような好循環を通じて貧困状態の解決に寄与するという考え方は、ハッピーステップスの「すべての人がWinWinになれる無理のないシステム」という理念に通じるものです。ウガンダ自転車プロジェクトは社会貢献だけでなく、ビジネス的な要素を持ち合わせたプロジェクトとして推進しました。
(循環モデル)
<成果① 48台44人へ販売>
現地NGOのChildlineとの連携により、8か月で自転車48台、44人への販売をおこなうことができました。年齢の分布傾向は、17歳から51歳で、最終学歴の傾向は初等教育レベルでした。また、購入者の多くは、自転車タクシーまたは水汲みの仕事に従事している人々でした。
販売台数だけをみると決して大きな数字ではありませんが、幅広い世代
に対してアプローチできたことや、自転車を必要とする職業に従事する人に対して販売できるなど効果的な貢献ができました。
<成果② 生活の質の向上!>
購入者からのインタビューを通じて、購入者の生活の質の向上が確認できました。これは、自転車購入により就業環境や所得状況が改善されたために得られた結果と考えます。
購入者の生活変化は次の通りです。
- 農作物の運搬の効率が増し、生活必需品の購入や貯蓄までできるようになった
- 学校に通えるようになった
- 自転車の賃料を払わず自立できた
- 家もなく、子ども2人と生活していたが、仕事を通じて家を手に入れ、奥さんも手に入れた
<現地NGOの活動の発展に!>
自転車プロジェクトを推進していく中で、現地NGOのChildline自身の活動に対する意識変化がありました。現地の自立性やマネジメントへの関心の高まりなど、副次的な成果が生まれました。
自転車販売の促進をおこなうために、Childlineは、独自に広報活動を実施しました。また、自分たちの活動を持続可能なものにしていくためには、寄付に基づく社会貢献活動のみに依存するのではなく、経済的に自立した活動としていくことが重要であるとの意識への変化がありました。
互いに活動を共にすることで、「NGOマネジメント」に対する考えかたを共有しました。そして、事業収益の運営における重要性を再確認することができました。
なお、Childlneは、今回の経験を踏まえ、マイクロファイナンス(ローンと教育の組み合わせ)に関する新たなプロジェクトを開始しています。このように、ウガンダ現地NGOの活動の発展に一定の貢献ができました。
<課題および新たなチャレンジ!>
自転車プロジェクトでは、当初の想定と異なる部分が多く見られました。特に、ローンの回収や販売台数の伸び悩みなどの課題がありました。
回収は、個別家庭訪問により行っており、滞留する原因の多くは、天候不良、休業、体調不良によるものでした。主な原因は、貧困などの経済的なことではないですが、回収方法や顧客の信用調査にはさらなる改善が必要であることが分かりました。
また、ウガンダでは中国からの安価な自転車が多く輸入されているため、プロジェクトで販売する自転車には価格的な競争優位性がありませんでした。加えて、現在では自転車よりもバイクのニーズが高いこと、道路状況が悪くパンクが頻発することが分かりました。今後は、めまぐるしく変化する市場についての調査が必要であることが分かりました。
ただし、本プロジェクトでは、実質的に自転車を必要とする人にアプローチできており、一定の成果をあげることができていると考えます。
なお、今回、プロジェクトの成果および課題の抽出においては、「リモートマネジメント」の手法を取り入れました。これは、ウガンダ人のサポーターに調査を依頼し、ハッピーステップスにて取りまとめをおこなうというもので、新たな国際協力の形と考えます。
このように、今回のプロジェクトの推進上の課題の反省を踏まえ、今後はリモートマネジメントというハッピーステップス独特の新たな手法を用いながら、次のプロジェクトへのチャレンジをしていきます!
<プロジェクト総括>
自転車プロジェクトは、プロジェクトの目的である「ウガンダの生活向上」に加えて、副次的な成果としていくつかの発見がありました。
まず、現地に常駐の日本人スタッフを配置しない、リモートマネジメントによるプロジェクト推進をしたことで、主婦やOLといった日本に拠点を置くメンバーでの運営が可能となりました。これにより、誰でも国際協力へ参画できることを証明しました。
また、リモートマネジメントには、通信技術やインターネットバンクといった金融技術が重要であることも分かりました。さらには、それら最新技術を使いこなす力量が必須であると言えます。
このように、ウガンダ自転車プロジェクトにより、直接的には、ウガンダの生活環境の改善をもたらし、間接的には新たなNGOマネジメントに関する提案をすることができました。
<プロジェクト沿革>
ウガンダ自転車プロジェクトの沿革は、次の通りです。2014年3月から約1年半。様々な課題に立ち向かいながらも一定の成果を達成し、2015年11月29日(日)には、報告会を実施することができました。
- 2014.3 水汲み業者約100名に対し事前調査
- 2014.6 現地NGO Childlineと合意文書締結
- 2014.7- 2015.3自転車販売・費用回収の開始
- 2014.12-2015.1 地元ラジオでの販促宣伝
- 2015.2-3短期での返済を条件に価格値下げ
- 2015.4-2015.6 在庫を現地NGO(*)に寄贈 ※ウガンダあしなが関連団体
- 2015.7 ウガンダ人調査者による現地調査
- 2015.11 プロジェクト報告会
<報告会の実施>
【日時】2015年11月29日(日)13:00-14:45
【場所】JICA地球ひろば 203会議室
【プログラム(予定)】
13:00-ウガンダ自転車プロジェクト報告
13:40-ディスカッション
14:20-ハッピーステップスの紹介、閉会の言葉
報告会では現地成果についてのインタビュービデオの上映を行いました。臨場感のある生の声を届け、現状が伝わりやすくなるよう工夫しました。
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